パタゴニアへの道 本編

超有名アウトドアブランド、パタゴ○アの商品をぬかるみ堂に並べるのだあ!あったかい毛布のようなフリースジャケットを雪国の人達に提供していくのだあ!これからは まっとーな商売 をしていくのだあ!
と決意した私たちは、さっそくパタゴ○ア日本支社に取り引きの申し込みをするべく電話をかけました。

「えーっと、富山ですか?
富山でしたらすでに取り引きしているお店が駅前にありますねえ。うちは
バッティングしないために一地域一店舗 という方針をとっていますので、申し訳ありませんが、お取り引きできないんですよ」

もののみごとに電話一本で断わられてしまった。
そりゃあそうだろう。登山やロッククライミングの専門店でもなく、カヌー専門店でもなく、サーフィン専門店でさえなくて、「今は古着とアジアものを扱っています」なんていうおかしな店から問い合わせがあれば、この私だって
丁重にお断り しちゃうよ。

しかーし、それですごすご引き下がる我々ではなーい。
だって駅前にあるその店に行ってみたら、秋だというのにフリースジャケットが
たった3枚しか 置いてなかったのだから。たった3枚で、どうバッティングするというのだ。バッティングのしようがないではないか。

「よし、こうなったら
本社に直訴しよう !」と、不屈の男ボスが叫んだ。
本社に直訴!ひょっとしたらそれはすばらしいアイデアかもしれない。なんたって相手は
アメリカンドリームの国 なのだ。
さっそく総務部長の私は英文をしたため、カリフォルニアにある本社にFAXを送りました。

「私は、創業者の著書[SACRED TRUST]の抄訳を読んで感銘を受けました。ぜひ パタゴ○アの理念を、商品を通して 人々にシェアしたい。どうか日本からのオーダーを受け入れて下さい」
とまあ、こんなふうな内容を書き送ったのね。



パタゴ○アの理念・・・これはほんとうにすばらしいのです。たとえば、

地球に与えるダメージを抑えるために、多機能で長もちする製品を作る。
そう、世界に先駆けて、ペットボトルをリサイクルし、あったかいフリースジャケットを製造したのは、このパタゴ○アなのです。
総売上げの1%を地球税として環境保護のために使う。
カタログのあるページには、「不要なダムは取り壊せ!」のメッセージと、鮭の絵をプリントしたTシャツが並んでいて、このTシャツの売り上げから10ドルが野性の鮭を助けるための組織に援助されると記されてあります。

「消費経済に依存している自分の会社は生産過剰に責任がある」と思い悩んだ創業者は、シンプルな生活を提唱するための道具として会社を使うことにしたのね。
ちょっと話が堅くなっちゃったけど、どうです?こんな会社の商品をうちの店に並べたいってのがわかるでしょ?

さて、FAXを送ってから10日後、パタゴ○ア日本支社から電話がかかってきました。
本社に手紙を出されたそうで
なんだか慌てた声で相手の男性は言うと、この前と同じ断わりの主旨をひととおり説明し、「くわしいことは営業部長の○氏に聞いて下さい」と丁寧に話を締めくくった。
うーん、これはちょうど、ものわかりの悪い母親に向かって、「おたくの○○君が停学処分されたのは、まあそういうことですので、くわしいことは生徒指導の○○先生に聞いて下さい」と担任が丁寧に言うってのに似ている。
よーするに、私たちはていよくあしらわれたってわけね。



「こうなったら、
営業部長に直訴しよう !」
どこまでも不屈の男ボスは叫んだ。(おーじょーぎわが悪い男ともいう)
またしても総務部長の私は、レポート用紙4枚にもわたる長〜い陳情書をしたためた。返事は、、、ついになしのつぶて。ふぇ〜ん。

ここで駅前の店がパタゴ○アの商品をどーんと並べていてくれさえすれば、私たちとしてもおとなしく納得するのだけど、それがどーしたわけか、相変わらずの品不足ときてる。なんともくやしい。

しつこいまでに不屈の男はとうとう叫んだ。
「もうこうなったら、
平行輸入するしかない !」
平行輸入というと聞こえがいいが、要するに、
裏ルート のことだ。裏ルートのくわしいことについては、ここでは言うまい。ただ、はっきりいってこの場合、 利益はほとんど出ない 。ま、ホレた商品が店に並ぶ、それでいいってことさね。
てなわけで、1993年のこの冬、ついに私たちはパタゴ○アへの長い道のりを踏破し、ぬかるみ堂に憧れのフリースジャケットを並べることができたのでした。

 

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