立地条件のよい場所に店を出す、これは商売の基本だよね。
しかし私たちは愚かにもそれをしなかった。 家賃の安さに目がくらんだ私たちは、なんておバカだったのでしょう。
人通りのある賑やかな場所に店をオープンすれば、すぐみんなに気付いてもらえる。新しい商品が入れば、すぐみんなにそのディスプレイを気付いてもらえる。
ところが、へんぴな場所にオープンした私たちは、広告しないと誰にも気付いてもらえない。かなしいです。
そこで、オープンのとき私たちのボスは考えましたね、目立つ広告を。 何かというと、
捨て看板 です。
捨て看板というのは、ほら、よく電柱に「パチンコXX新装開店!」なんてのがくくりつけてあるでしょ、あれですよ。
捨て看板という名前のとおり、「捨てられちゃったの、ワタシ、、、」というなんだかちょっと切ない看板なのですが、一方の「捨てちゃうもんね、ワシ」の責任はどうなるのかというと、一応建設省の道路ナントカ法に触れる行為だということで、現行犯で逮捕されても文句がいえないということらしいよ。(とはいえ、それを仕事にしている業者はちゃんとあるのだが)
「直輸入!英国古着、アジア雑貨」
これが私たちの捨て看板のタイトルでした。この捨て看板をうちのボスときたら、値引きしてもらう代わりに自分でデザインし(彼はもともと和菓子などのパッケージングデザイナーだった)、自分で取り付けることにしたのね。
オープンの三日前、私たちは50本の捨て看板を 深夜こっそり と市内のあちこちに取り付けました。はたして・・・
どきどきしながらオープン初日を迎えたぬかるみ堂に、「スクランブル交差点の看板見ました」とか、「大学前の看板見ました」とかいう人たちが来てくれて、ヤッター。
さて次にボスが考えた広告はというと、 「草の根カード」 。
インドの神様 ガネーシャ
を印刷したお店の名刺のことです。この名刺を来てくれたお客さんに頼んでお友達に配ってもらおう、と考えたわけ。
ちょっと調子がいいかなァと思ったけど、意外にもこの草の根の宣伝活動は喜んで引き受けてもらえたんですよ。ありがたいぞォ。
その後は、手書きの「ぬかるみ堂通信」を発行し続け、今はこうしてホームページを開いています。へんぴな場所にいなかったら、こんな苦労はしなくてよかったかもね。
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