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第二話で仕入れのためにアメリカに行くのはイヤだと言っていましたが、それは古着のハナシ。ちょっとヤバそうなロスを駆けずり回って古着の山を物色するなんて、なんだか気分的にヤだな、時間ばっかりかかって効率悪そうだし、と思っていたわけです。
でもこれがアウトドアとなるとハナシは別。本場のショップを見て回るだけでも楽しいぞ、行きたい行きたい−ってことで、アウトドアブランドの本拠地、ワシントン州 シアトル視察旅行 を思いついた私は、ボスの説得にかかりました。とはいえボスをそそのかすためには、いかにも遊びっぽい視察というのはまずい。
「ファクトリーアウトレットで掘り出し物をごっそり 買い付けましょう !でもって新しい取引先の工場とかを 開拓しましょう
!」
そう、あくまで目的は買い付けなのよってことをまずは強調しなければなりません。
「それにシアトルに行って本場のショップを研究するってのも今後の店展開の方向性を探る上でヒントになるしね!」
1995年の夏、為替レートは 1ドル90円台
という驚異の円高となっていました。
アジアと比べて物価の高いアメリカに行けるとしたら円高の今しかない。シアトルでノースフェイス、パタゴニア、REIといったお店を見て回りたい。
「う−んシアトルねえ。はたしてシアトルでいいんだろうか」
アメリカ初体験をもくろむ私とちがって、ロスのフリーマーケット体験のあるボスは簡単には話に乗ってこない。
そりゃあそうです。ただやみくもに上陸して「現地買い付けだあ−」と叫んだって、うろうろするばかりです。
今ならインターネットで情報収集が簡単にできるところでしょうけど、インターネット夜明け前の当時はそうもいかず、私たちは取引できそうな工場や輸出業者を紹介してもらうため、ワシントン州やお隣のオレゴン州の政府経済開発局や、州政府駐日事務所にお願いFAXをして、業者リストを送ってもらいました。
ついでに観光資料とかもあれこれ送ってもらい、おおまかなスケジュールを立てていると、ボスがにんまりして言いました。
「ポートランドなら消費税がかからないぞ」
なんと、オレゴン州ポートランドでの買い物は 消費税なし だったのです。
シアトルやサンフランシスコやロスだったら約8%の消費税がかかりますが、同じものを買ってもポートランドなら0%なのです。この NO TAX
は魅力的です。
調べてみると、ポートランドにはアウトドアブランドの格安ショップとか、ラグビーシャツの縫製工場、ナイキショップにナイキアウトレット、郊外にはチャンピオンやリーバイスといった定番ブランドの入ったファクトリーアウトレットもありました。おお、いいぞいいぞ。
結局、シアトルにからめてポートランド行きが決まりました。
さあ次は格安航空券の手配と、とりあえず三泊分のホテルの予約です。
私たちの場合、ホテルの予約は旅行代理店任せでなくいつも自分たちでやります。移動に便利で仕事に取りかかりやすく、治安もよさそうだなってところにあるホテルを、勘を頼りに地図上で探します。(「地球の歩き方」の市街地図なんかが結構役に立ったよ。)
で、たいていは二泊もすれば次の仕事の段取りが見えてくるので、より都合のいいホテルを現地で探して移動することになりますが、今回は慣れないアメリカということで、三泊の予約を入れました。
アメリカ初日のポートランドでは、とりあえず気分的に落ち着きたかったので川沿いの小さなホテルを予約しましたが、その時、「できれば川沿いの部屋にして下さい」と要望を書き込んで早めに予約FAXをしたのは賢明でしたね。おかげで
窓の外には木々が緑の葉を広げ、穏やかな気分で朝を迎えることができました。
その上、思わぬ観光気分を味わうことができたのもこのホテルのおかげでした。
ハードな一日にぐったりしてホテルに帰り着いた私たちは、早くメシ喰って早く寝たいよ−と思いながらも、せっかく川沿いのホテルに泊まったんだから川ぐらい見ておこうか、と出かけたのですね、すると驚いたことに、川沿いの散歩道はなんだか和やかな表情の人たちがゆったりとお散歩を楽しんでいて、少し行くと、広場では子供たちが路面から吹き出す噴水の水を掛け合って笑い転げていました。ま、せっかくだから人の流れの行き着く先を見てみようよ、とすっかり嬉しくなってお散歩していたら、忽然と夕闇の中に、ここは地中海?って感じのヨットハーバーの明るい賑わいにでくわしたのでした。たまっていた疲労がぱあっと吹き飛びましたね。
さて、航空券とホテルの手配に加えて、他にも出発前に準備しておかなくちゃならないことはというと、レンタカーのための国際免許証を取っておくこと、トラベラーズチェックを作っておくこと、国際宅急便の現地連賂先を控えておくことなどがあります。
トラベラーズチェックというのは、仕入れの支払いに使ったり、あとコーヒー飲んだりコンビニで買い物をしたりチップをあげたりするための現金をホテルのフロントで換金してもらうために必要なわけで、ホテルやレンタカーの支払いについては、クレジットカードを使います。
で、このカードなのですが、今の状況については知らないけど、どこでも通用するのがマスターカード、普及率がちと落ちるのがVISAカード、私たちのようなチープな旅行者にとっては役に立たないのがJCBってところでした。
あ、そうそう、トラベラーズチェックの場合も、アメリカンエクスプレスだと安心ですよ。
ところで簡単に手に入るさ、と思っていたのに現地調達に手こずったのが、なぜか 段ボール でした。
というか、段ボールってどこにでもありそうで、いざ探すとなかなか見つからないってものなんですね。
ホテルのフロントで「段ボールもらえませんか?」って聞こうとして、はたと困りましたね。いったい段ボールって英語でなんて言うの?
「え−っと、箱を探してます。厚紙で作られていて、このくらいの大きさで、、、ホテルにありませんか?」
絶対あるはずだと思っていたのに「ありません」というすげない答え。
で、そこにならあるんじゃないかというので、教えてもらったコンビニに行ったら、悲しいかなSサイズの段ボールしかない。ふえ〜ん、もっとでっかい段ボールじゃないと買い付けた商品が納まらないんだよう。
「もっとでっかいの?だったら、郵便局で売ってるよ」コンビニのお兄さんがアドバイスしてくれたのでした。 |