OMAKE その1

ほんのおまけの小話です。
by Terakoshi

■カルカッタの悲劇■洋式への憎悪■インド(ゴア)の豚

■カルカッタの悲劇 (98/04/08UP)

今回はボクがインドを放浪していた時に、カルカッタの安宿で聞いた恐い話だ。

吉田陽子さん(仮名)という日本の女の子がインドを一人で旅してた。
陽子さんはカルカッタのブラックマーケット(市場)のお店で、何気なく自分の
カメラを売ったんだ。そんなことは若い旅行者にはよくある話で、まあたいがいは、旅の資金づくりみたいなもんだ。
彼女の場合、別に金に困ってた訳じゃないんだけど、日本人とみると歩いているだけで、あっちこっちから連日カタコトの日本語で「カメラ持ってない?ウォークマン持ってない?」って声をかけられるもんだから、まあ旅のみやげ話ぐらいにはなるかなって感じで、いらなくなったカメラを売ったんだ。

・・・で、しばらくして陽子さんは気が付いた。そういえばインドに入国した時、入国検査で
カメラの申告をさせられたんだ、ってね。
このままだと出国する時に、カメラを売り払ったとみなされて、多額のお金を払うことになる。陽子さんは不安になって、けっきょく
警察に紛失届を出しに行った。
この紛失届さえあれば、出国検査もかんたんにパスできるだろうし、それにインドの警察がいちいち旅行者の紛失物を探すはずがないと思ったんだね。

そうして陽子さんは紛失届を持って、また旅を続けた。
ところがだ。彼女が
真っ正直にカメラの内容を事細かに届けたもんだから、カメラがすぐに見つかったんだ。もちろんブラックマーケットの店主は警察に捕まった
インドの警察は恐い。店主がいくら真実を言っても信じてもらえず、かわいそうな彼は、足腰が立たなくなる程の凄惨な
リンチを受けた
その後やっと釈放された店主は、怒りに怒った。陽子さんがすでにカルカッタを出てネパールに向かったと知ると、すぐに
殺し屋を雇った

そんなこととは
つゆ知らず、陽子さんはネパールで楽しくトレッキングし、それから日本に帰るべくカルカッタに戻ってきた。
彼女はうまく殺し屋からのがれてた、ってことになるね。
でも、これには後日談があるんだ。

カルカッタに舞い戻ってきた陽子さんは
恐ろしい話を耳にする。
それは、ネパールで殺された日本人の女の子「ヨーコさん」の話だ。
そう、陽子さんは助かり、同名のヨーコさんが、人違いで殺されたんだ。

吉田陽子さん(仮名)があわてて日本に逃げ帰ったのは言うまでもない。


■洋式への憎悪 (98/04/27UP)

今回は、ボクがはじめて海外旅行した時の話。
場所は、ロンドンの、ユースホステルの、トイレの中。

初めての海外旅行という緊張からか、ボクは朝から
下痢に悩まされ、午前十時になっても便座から離れることができず、落ち着かない気持ちだった。ユースホステルはどこだって十時になると、宿泊者をいったん外に閉め出すからだ。
案の定、間もなくトイレにスタッフ(従業員)が入ってきたらしく、ドアを順番にノックし始めた。

ボクは当時、洋式トイレが苦手だった。便座に座ってきばるという行為がなぜだかできなかったのだ。だからといって、ロンドンに和式便所があるはずもなく、、、やむを得ず便座を上げて
便器のヘリに土足で上り、ドアを背にしてしゃがみ込んでいた。要するに洋式便器の上で和式座りをしていたのだ。
当然ながら、これはえらくバランスが悪い。便座を下ろしての和式座り、というのもやってみたが、これだと的(まと)がふたまわりも小さくなってしまい、外にもれ出してしまいそうだ。

スタッフはボクの入っているトイレをノックした。ボクもノックを返した。
ドアの向こうから話しかけてくる。ボクに早口の英語なんぞ分かるはずがない。
スタッフは大きな声で何か言い、
壊れかけたドアをガチャガチャやり始めた。
やばい、開ける気だ!
何か言い返さなければ!何でもいいから、とにかく英語で・・・。
しかし、とっさに英語なんぞ出てこない。
ボクは
上体だけ反転させて取っ手を掴んだ。なんとかこの姿を見られるのだけは阻止しなければ。
が、次の瞬間、ドアが開いてしまった。
ボクはゆっくりと、仰向けでスタッフの足元へと倒れこんでいった。顔に日本人特有のうすら笑いを浮かべながら・・・(^_^;

■インド(ゴア)の豚 (98/04/30UP)

遥かインドの西南、ゴアの海岸は、アラビア海に沈む夕日がすばらしくきれいなことで知られているところだ。また、世界中のバックパッカーが旅の疲れをいやすところでもあり、一年以上も疲れをいやしている日本人なんてのもけっこういたりする。
海岸にポツン、ポツンと並ぶ茶屋からは
レゲエの音楽が流れていて、その裏手には、掘っ建て小屋のような安宿がやはりポツン、ポツンと建っている。
この安宿の
共同便所に入りこえだめを覗くと、外が見える四角い穴から、いつものようにブタが顔を出していた。
「早くウンコ落ちてこないかなぁ
ブヒィ」って感じの顔一面の笑顔で見上げてくる。
こんな状態でウンコができるかァーってんだ。

翌朝ボクは野グソをすることにした。
インドでは左指で肛門を水洗いするのが常識なので、ボクは朝早くから
水を入れたカンカラをぶらさげて、畑に向かった。
ゴアの朝は涼しくて気持ちいい。大きく深呼吸してみたりする。そして何気なく振り返ると・・・・・
ボクの後ろを十匹近くの
ブタたちがついてきていた。
   
ボクがしゃがみこむと、ブタたちは今か今かと待っている。待ちきれないのか踊っているブー太郎や、
盗み喰おうとしているブー子もいる。
「おい、見るなよ。あっち行けよ!」
・・・・・やむなく用を済ませ、パンツを持ち上げると、まさに
その瞬間、ブタたちはいっせいに、すこし前までボクの体内で大切に大切につくり蓄えていたモノを、人に断わりもなく争い喰ってしまった。その間わずか1.02秒
「ううわぁぁ☆×÷¥@!?」
罪のないブタとはいえ、ボクは頭に血が上ってしまい、完全に
怒り狂ってしまった。
「オレのだぞォーーー、ばっきゃろーーー!!」
泣きながらブタを追いかけるボクを、インドの農夫が笑って見ていました。

OMAKE その2 ★インドの神様ガネーシャ★
くるくる動くガネーシャがかわいいよ。